PC の稼働ログを取るツールを全台に配った。管理画面を見ると、ログが1日も出ていない人がいる。しかも1人や2人ではない。
ある D2C 系の会社(Mac と Windows が混在、PC 約120台)で、PC 稼働ログのツール(MITERAS)を展開した。登録者約80名のうち、ログがまったく出ていない人が20人以上いた。「ツールが入っていないんだろう」で片づけず、ユーザーマスタ・MDM・ログの3つを突き合わせたら、原因は5つに分かれた。そのうちいくつかは、エラーを出さずに黙って失敗するタイプだった。
この記事でわかること
- ▶ 「入っているのに取れない」を切り分ける3点突き合わせ
- ▶ ログが取れない5つの原因と、それぞれの対処
- ▶ 「ユーザー宛ての割り当て」と共有アカウント運用の落とし穴
- ▶ エージェントの常駐を MDM で監視する仕組み
▼3つのデータを突き合わせる
ログが出ていない人を、次の3つのデータで照らし合わせた。
| データ | わかること |
|---|---|
| ツールのユーザーマスタ | 誰を、どのログオン名で紐付けようとしているか |
| MDM(Mac は Jamf、Windows は Intune) | 端末にアプリが入っているか、実際のローカルユーザー名、最終接続日 |
| 稼働ログ | いつまで取れていて、いつから止まったか |
Windows のローカルユーザー名は、Intune の修復スクリプト(毎日ローカルアカウントを確認するもの)の結果から取った。アプリのインストール状況は、Intune のレポートのエクスポートで取れる。
▼原因は5つに分かれた
| 原因 | 典型例 | 対処 |
|---|---|---|
| ① マスタと実際のログオン名が違う | マスタは管理用アカウント名、実際は本人名で使っている。逆に、セットアップ用の共有アカウントのまま使い続けている | マスタを直す/本人のアカウントを作って切り替える |
| ② 名前も一致、アプリもあるのに取れない | エージェントが常駐していない疑い | 常駐状態を MDM で監視する(後述) |
| ③ その端末を使っていない | MDM の最終接続が数か月前 | 本人や上長に、実際の使用端末を確認する |
| ④ Windows で配布が始まっていない | Intune にインストール記録も、スクリプトの実行記録もない | 本人の組織アカウントで PC にサインインしてもらう(推定) |
| ⑤ 管理された端末がない | Jamf にも Intune にも、その人の端末がない | 使用端末を確認する。マスタのユーザー名がメールアドレスになっていて、端末があっても紐付かない例もあった |
▼黙って失敗するもの:ユーザー名の「完全一致」
このツールは、マスタに登録したユーザー名と、PC のローカルのユーザー名(%USERNAME%)が完全に一致したときだけログを紐付ける。一致しなければ、エラーも出さずに「ログなし」になる。
以前は「漢字のユーザー名だと紐付かない」と考えていた。だが今回、漢字のユーザー名でも、マスタと一致していればログは取れていた。問題は漢字ではなく、不一致だった。原因を「漢字」と決めつけていたら、マスタの修正という本当の対処にたどり着かなかった。
落とし穴:ユーザー宛ての割り当て × 共有アカウント
Intune でアプリやスクリプトを「ユーザー」宛てに割り当てていると、その組織アカウントで PC にサインインした人にしか配られない。セットアップ用の共有アカウントのまま PC を使っている人には、いつまでたっても配布が始まらない。④の原因はこれだと推定している。共有アカウントで動いている PC は、ほかにも複数台見つかった。
▼エージェントの常駐を MDM で監視する
②の「アプリはあるのに取れない」は、エージェントが動いていない可能性が高い。そこで、Mac の MDM(Jamf)に拡張属性を作り、エージェントの常駐状態を毎日集めるようにした。
- ▶ 結果は
OK/NOT_RUNNING/NO_PLIST/NO_APP/NO_USERの5種類(読み取りのみのスクリプト) - ▶ NG の端末を集めるスマートグループを作り、一覧で見られるようにした
- ▶ 値は、毎日のインベントリ更新で入る
1つ注意がある。MDM と通信できていない端末には、この値が入らない。一方で、MDM との通信が止まっていても、稼働ログのツールは単独で動いていた。「MDM が壊れている端末=ログが取れない端末」ではない。ここも思い込みで判断しないようにした。
▼打刻の徹底は急がない
この会社では、稼働ログを勤怠の打刻と突き合わせて、乖離を見ることが目的だ。先方からは早く運用に乗せたい意向もあった。だが、ログが取れていない人が2割以上いる状態で打刻との突き合わせを始めれば、「ログがない=働いていない」という誤解を生む。
そこで、「端末の稼働を見える化する → 打刻との乖離を測る」という段階を踏むロードマップを示した。まずはログが全員分そろうことが先だ。なお、このツールのログは直近3か月分しか取れないので、毎月末に前月分を取得して保管している。
▼まとめ
- ▶ 「入っているのに取れない」は、マスタ・MDM・ログの3点で突き合わせる
- ▶ ユーザー名の完全一致は黙って失敗する。原因は漢字ではなく不一致だった
- ▶ ユーザー宛ての割り当ては、共有アカウントで使っている PC には届かない
- ▶ エージェントの常駐は、MDM の拡張属性で毎日監視する
- ▶ ログが全員分そろうまで、打刻との突き合わせは始めない
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「ツールは全台に配ったはずなのに、データが取れていない人がいる」——そういった段階からお気軽にどうぞ。原因の切り分けから、MDM での監視の仕組みづくりまで対応しています。
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