読み取り専用のはずが、送信権限まで。ChatGPT の M365 連携を絞る

ChatGPT から Outlook のメールや Teams のチャットを読めるようにしたい。便利だが、管理者が一度承認すると、テナントの全員が使える状態になる。

全社に ChatGPT Business を配っている会社(30名規模)で、Microsoft 365 との連携を始めた。社内では「AI には読み取り専用で」と説明していた。ところが連携のあとで権限を確認すると、アプリにはメール送信や Teams への投稿の権限まで付いていた。この記事では、連携を「許可した人だけ」に絞った方法と、その過程で見えた「説明と実際の権限のずれ」について書く。

この記事でわかること

  • ▶ ChatGPT × Microsoft 365 連携を有効にする前に決めたこと
  • ▶ Entra のアプリ割り当てで、利用者をグループに絞る方法
  • ▶ 「読み取り専用」のつもりが、送信の権限まで付いていた話
  • ▶ 外部プラグインの接続を管理者側で止める判断

▼有効にする前に決めたこと

連携を有効にする前に、順序を決めた。

  • ▶ 社内アナウンスと利用ガイドラインが先、有効化が後。管理者が承認した瞬間に全員が使える状態になるからだ
  • ▶ 書き込みは「下書き保存まで」。メールの下書きを作るには書き込みの権限が要る。だから権限は付けるが、プロンプトで「送信はせず下書きに保存する」と決め、責任者の承認を書面(チャットでよい)で残す
  • ▶ 展開の順序は、カレンダー → プラグイン → Teams など
  • ▶ 許可は希望者から順に。誰に許可したかを記録する

連携の承認にも注意点があった。テナントで一度承認しても、Teams・Outlook・SharePoint のアプリごとに承認が要る。SharePoint は扱う情報の範囲が広いので、別に承認を取ることにした。

▼利用者を、グループのメンバーだけに絞る

「許可した人だけ」を技術的に担保するために、Entra ID のアプリ割り当てを使った。

STEP1 許可用のセキュリティグループを作る(SG-ChatGPT-M365連携)

STEP2 最初に許可する人をグループに入れる

STEP3 Entra のエンタープライズアプリ「ChatGPT」に、そのグループを割り当てる

STEP4 アプリの設定で「割り当てが必要」を「はい」にする

STEP4 が肝だ。既定では、割り当てがなくても誰でもアプリにサインインできる。「割り当てが必要」にすると、割り当てたグループのメンバー以外は弾かれる。Teams・Outlook・SharePoint の連携は、Entra 上では1つの「ChatGPT」アプリにまとまっていたので、設定は1か所で済んだ。

以降、許可の追加・取り消しはグループのメンバーの変更で行い、記録表(氏名・許可日・範囲・根拠)に残す。同意は投票フォームで取り、その結果を見てグループに追加する運用にした。追加の半自動化も考えたが、対象は最大でも35名程度なので、全自動にはしていない。自動化のフローを作ると、その持ち主が自分になってしまう。

なお、グループ外の人が実際に弾かれるかの実地確認は、まだこれからだ。

▼「読み取り専用」のつもりが、送信の権限まで付いていた

グループの設定のついでに、ChatGPT アプリに付いている権限(スコープ)を確認した。すると、次の権限が付いていた。

  • ▶ メールの送信(Mail.Send)
  • ▶ Teams のチャット・チャネルへの投稿(ChatMessage.Send・ChannelMessage.Send)
  • ▶ ファイルの読み書き(Files.ReadWrite.All)、SharePoint の読み取り(Sites.Read.All)

社内の方針は「下書き止まり」「SharePoint は別に承認」だった。だが権限上は、送信も SharePoint の読み取りも、すでに承認された状態に見える。連携の承認画面で、アプリが求める権限をまとめて承認すると、こうなる。

方針と権限のずれは、説明して記録する

AI のコネクタは、実用のために広い権限を求めることが多い。「読み取り専用で」と社内に説明していても、実際の権限は違うことがある。今回は、ずれを責任者に説明し、運用ルール(下書き止まりのプロンプト)とグループでの利用者の絞り込みで補う形にした。説明した事実と承認は、書面で残す。

▼外部プラグインの接続は、管理者側で止める

ChatGPT の管理画面には、ワークスペースから外部サービス(プラグイン)に接続する機能もある。プラグインごとに使う・使わないは利用者も選べるが、管理者側で大元の接続を無効にすることにした。

無効にしても、「つながっていたものがつながらなくなるだけ」で、ほかに影響はない。必要になったら、個別に許可すればいい。逆に、Microsoft 側のアクセス許可(カレンダーの読み取りや書き込み)は、必要な権限として現状維持にした。止めるものと残すものを、理由つきで分けておく。

▼まとめ

  • ▶ アナウンスとガイドラインが先、有効化が後
  • ▶ Entra のアプリを「割り当てが必要」にして、グループのメンバーだけに絞る
  • ▶ 許可はグループの変更で行い、記録表に残す
  • ▶ コネクタの実際の権限を確認する。方針とずれていたら説明して記録する
  • ▶ 外部プラグインは大元で止め、必要なものだけ許可する
📄 AI サービスの安全性の比べ方はこちらの記事で解説しています。
📄 Entra のグループを棚卸しした記録はこちらの記事で書いています。

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