退職者は削除しない。TeamSpirit の稟議設定を壊さず引き継ぐ

勤怠と申請・承認(稟議)を TeamSpirit で回している会社は多い。設定したのは前任の情シスで、マニュアルはない。触ると何かが壊れそうで、誰も手を出せない。

ある会社で、長期不在になる前任の情シスから TeamSpirit の管理を引き継いだ。社内で過去に何人も理解をあきらめ、前任者が数か月かけてようやく把握した領域だ。外部に作り込みを頼むと、100万円近くかかるうえに保守費が毎月かかると聞いている。この記事では、引き継ぎで教わったことのうち、壊さないために知っておくべきことをまとめる。

この記事でわかること

  • ▶ 稟議の設定が「承認ルート」と「申請画面」の2層になっていること
  • ▶ 変えるときの作法(コピーして作り直し、有効化してから切り替え)
  • ▶ 入社・退社のときの3か所の手順と、ユーザーを削除しない理由
  • ▶ 管理者として「見えてしまう」情報の扱い

▼稟議の設定は2層になっている

TeamSpirit は Salesforce の上で動いている。稟議の設定は、大きく2つの層に分かれていた。

層 設定の場所 注意点
承認のルート(ワークフロー) 設定の「プロセス」 部署・パターンごとに違う。条件の値が1文字でも変わると、ルールが効かなくなる
申請の画面(フォーム) オブジェクトマネージャーの「Lightning レコードページ」 1画面に出せる項目は100個まで。必須・任意を変えたいときは、項目を分けて作る必要がある

この2つは連動している。申請画面の項目の値を変えると、その値を条件にしている承認ルートが効かなくなる。どちらかを触るなら、必ずもう片方も合わせて確認する。

「承認者なのに見えない」のは共有設定

もう1つ、見落としやすい層がある。見られる範囲の共有ルールだ(設定の「共有設定」の末尾)。たとえば、部長が不在のときに副部長が承認するなら、承認のルートに加えて、共有ルールでも副部長が見られるようにしておく必要がある。「承認者なのに申請が見えない」という問い合わせが来たら、まずここを確認する。確認は、そのユーザーに代理ログインして見てみるのが確実だ。

▼変えるときは、コピーして作り直す

申請画面を変えるときの作法を教わった。

① 現行の画面をコピーして、コピーの方を編集する

② コピーを有効化する(デスクトップ・電話・タブレットなど、全部のフォームファクターを選ぶ必要があった)

③ 有効化を確認してから、切り替える。問題があれば元の画面に戻せる

直接編集すると、戻す手段がなくなる。マニュアルのない設定ほど、「元に戻せる状態」を残してから触る。

使っていない申請は、消さずに放置する

グループの再編で人事の手続きが別の会社に移り、使われなくなった申請(産休など)がある。きれいにしたくなるが、触ると承認側にエラーが出るおそれがあるので、消さずに放置する方針にした。整理したい気持ちより、壊さないことを優先する。

組織変更で、過去の申請が見えなくなる

ロールの階層で見える範囲が決まっているので、上位の人の所属が変わると、過去の申請が見えなくなることがある。組織が大きく変わるときは、過去分は見えなくなる前提で作り直すのが一番だという。ルート変更の依頼は、半期の切り替え(年末年始と夏)に集中しやすい。その時期の前に、作業時間を空けておく。

▼入社・退社は3か所。ユーザーは削除しない

入社と退社では、3か所の操作がいる。

タイミング 手順
入社 ① Salesforce のユーザーを作る → ② インストール済みパッケージの「ライセンスの管理」で TeamSpirit のライセンスを付ける → ③ TeamSpirit の「社員登録」で勤怠体系などを入れる(何にするかは人事に確認)
退社 ① 社員登録で退社日を入れる → ② ライセンスを外す → ③ ユーザーの「有効」のチェックを外す

大事なのは、ユーザーは削除しないことだ。削除すると、その人が関わった過去の稟議が消える。退職者用のロールに移すかも検討したが、見えなくなる人が出るので「何もしない」が結論だった。

ライセンスは契約数と使用数を把握しておく。今回の会社では、契約数に対して余裕は数本だった。入社が重なる時期の前に確認する。

▼管理者として「見えてしまう」情報

引き継ぎで明示的に言われたことがある。管理者として入ると、人事のプロファイルが付いたままで、採用の条件や懲戒、休職といった人事の情報まで見えてしまう。

見えても見ない、そして分ける

外部の立場で管理者権限を持つなら、見えてしまう情報は見ない。だが運用でカバーするだけでは弱いので、管理用と人事用でプロファイルを分けるのが望ましい。代理ログインの権限をどのプロファイルで持つかも、サポートに問い合わせて確認している(サポートに一時的なログインアクセスを許可して調べてもらう形)。

▼まとめ

  • ▶ 稟議は「承認ルート」と「申請画面」の2層。片方を触ったら、もう片方も確認する
  • ▶ 承認者が見られないときは、共有設定を疑う
  • ▶ 変えるときはコピーして作り直し、有効化してから切り替える
  • ▶ 退社してもユーザーは削除しない。過去の稟議が消える
  • ▶ 管理者に見えてしまう人事情報は、見ない・プロファイルを分ける
📄 前任から短期間で引き継ぐ進め方はこちらの記事で書いています。
📄 情シスを採用するか外部に任せるかの判断軸はこちらの記事で解説しています。

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