私は今、ある企業で本職として情シスをしながら、2〜3社の情シスも代行している。
そんな立場と経験をもとに、情シスというポジションは正社員を採用すべきなのか、それとも業務委託を採用すれば事足りるものなのか、考えたいと思う。
▼結論
先に結論を言ってしまうと、個人的には一定フェーズ(100~150人規模)までは業務委託でいけると思っている。
そもそも、相当な規模(人数が多い、拠点が多い、利用するSaasが多い、等)ではなければ
情シスの運用業務はそこまで多くない。
こういうことを言うと、
「拠点1つで40~50人規模でも1人月必要なくらい忙しい!」という言葉をもらうこともあるが
実は蓋を開けてみると
– 効率化/自動化できる業務が非効率なまま放置されてる
– サービス導入時の設計が甘くて必要以上にヘルプデスクが発生してる
– 情シス業務のナレッジがなくてイチイチ作業時間がかかっている
といったことが往々にして起きている。
こういう状況であれば、例えば↓のような形で対応可能だ。
- 業務の効率化や自動化
- 単純作業であればGASを使って定期的に走らせる
- サービス間を繋ぎこむ作業(API連携等)であれば無償の範囲内でZapierを利用
- フォームを活用した情報収集/自動リマインド等は、Slackのワークフローを活用
- ヘルプデスク対応
- サービス導入時、予めユーザー体験に影響が出そうなポイントを抑えてQ&AやFAQを用意/作成
- Slackワークフローでリクエストフォームを用意し、質問&回答をスプレッドシートに転記し、一定以上溜まったらカテゴライズして社内にFAQとして展開
- 情シスの業務ノウハウ/ナレッジ管理
- マニュアル作成(アカウント発行/削除/権限操作、PCキッティング手順、等)
- 仕様/ルールの文書化(”業務プロセス”をもとにどのツールをどう使うか、権限別のできることできないこと、等)
上記は最初こそ時間がかかるし、頭を使う作業だが、裏を返すと最初しか時間がかからない業務だ。
最初に時間をかければ中長期的にはかなりリソースを節約できるからこそ、
個人的には、あまり規模が大きくないうちには情シス業務の設計/構築自体を含めて業務委託を活用する余地があると思う。
▼注意点
と、情シスの業務委託を推してはいるものの、注意点もある。
情シス業務は「下請けマインドが醸成されやすい」という点だ。
世に情シスを名乗る人はたくさんいるが、その大多数は既に作られた仕組みの上で動いている人間だ。
それ自体を”悪”だと言うつもりは毛頭ないが、必ずしも全員が全員、能動的に動けるかと言われると
個人的には半分もいないのではないかと考えている。
(稀に数十名規模のスタートアップでITツール導入から仕組み作り、ネットワーク、予算管理とかも全部一人でやってます、といったスーパーマンもいるが。)
なぜなら、情シス業務は一定程度の仕組みができてしまうとどうしても受け身で動く傾向が多くなり
– ヘルプデスクがあったから対応する
– 入社者が決まったからPCをキッティングする
– アカウント発行依頼があったから発行する 等
このように「他者からの依頼があって業務が成立する」性質上、受け身の業務が増えてしまうのだ。
最悪の場合は
1. 業務プロセスも整っていない&ノウハウもない状態から情シス業務を始める
2. ヘルプデスク等の緊急性の高い業務に忙殺され、根本的な問題の解消ができない
3. 常に受け身的に業務が回り始め、疲弊する
といった流れすらできてしまうのだ。
話を戻すが、業務委託を選定する際のポイントとして、
いわゆる”言われたことだけをやる”ような下請けマインドの人間を避け、
「相手の意図を汲み取ってコミュニケーションが取れる」
「ITツールを利用するユーザー側の業務/オペレーションを能動的に把握できる」
「目先ではなく、中長期的な視点で物事を考えられる」
を見極めることが大切だ。
特に、個人的に最も重要だと思うのは「コミュニケーション能力」だ。
情シス業務は専門性が高い故にどうしても小難しい内容が多い。
小難しいままアウトプットするのではなく、聞き手のキャパに合わせて伝えるコミュニケーションが必要である。
また、情シス業務における仕組み作りは
1. システムや機能で作る仕組み
→主に権限や管理機能でユーザー側の挙動を制御/コントロールすること
2. 運用やルールで作る仕組み
→機能的に制御/コントロールができない領域において、ユーザー⇔管理者間で操作方法、動き方を取り決めること
の2パターンがあるのだが、後者については非常にコミュニケーション能力が求められる。
「なぜこういうルールなのか」
「他にいい方法がないのか」
「こうはできないのか」
など、あーだこーだ言われる状況で”どう伝えたら伝わるか、理解してもらえるか”を考える必要があるのだ。
▼とは言っても
一定フェーズまでは情シスは業務委託で事足りるという結論は変わらないが
もちろん状況次第な話でもあることは留意してもらえると嬉しい。
ただ、個人的に正社員で情シスを採用するのは
「会社の考え方/価値観を土台に情シス人材を育成し、且つ会社としてIT戦略を設計をしていくとき」
がベストなタイミングの1つだと思う。
一方で、「忙しくなってきたから」「問い合わせが多いから」という理由だけで
正社員情シスを採用してしまうと、
- 非効率な運用を人力で回し続ける
- ヘルプデスク対応に忙殺され、改善が進まない
- “情シスが疲弊する構造”を固定化してしまう
といった状態に陥りやすい。
だからこそ重要なのは、
情シスを「作業者」として見るのか、「設計者」として見るのかという視点だ。
業務委託は、
– 業務を分解し
– 自動化・効率化の余地を見つけ
– 仕組みとルールを整え
– 将来のスケールを見据えて設計する
こうしたフェーズにおいて、非常に相性がいい。
ぜひ、採用か?業務委託か?という点で悩んだらこの内容が参考になると嬉しい。
私個人も引き続き業務委託として情シス代行を続けていこうと思うので、
「いま自社はどのフェーズなのか」「何から手を付けるべきか」といった壁打ちレベルでも、
気軽にお問い合わせ頂けたらと思う。