前任のベンダーから情シスを引き継ぐと、そのベンダー経由で買っていたものの更新が順にやってくる。ファイアウォールの保守もその一つだ。
ある会社(30名規模、オフィスに FortiGate 60F)で、前任ベンダー経由で買っていた FortiGate のライセンス・保守の購入先を別の販売店に変えることになった。新しい販売店との打ち合わせで、購入先の話とは別に、避けて通れない話が出てきた。FortiOS 7.6.3 以降、FortiClient を使う SSL-VPN(トンネルモード)がなくなる件だ。この記事では、購入先を変える前に確認したことと、SSL-VPN 廃止を「今」どう扱うことにしたかを書く。まだ決着していない部分は、未確認と書く。
この記事でわかること
- ▶ FortiGate の保守の購入先を変えるときに、先に確かめること
- ▶ FortiOS 7.6.3 の SSL-VPN 廃止で、何が困るのか
- ▶ 「機器ごと入れ替え」の提案に、今は乗らなかった理由
▼購入先を変える前に確かめること
FortiGate のライセンスは機器(シリアル番号)に紐づく。販売店を変えても、FortiGate の設定(FortiOS)には触らないので、ライセンスを買い直すだけなら影響は小さい。とはいえ、先に確かめておかないと手続きが止まるものがある。
| 確かめること | どこで | この会社の状況 |
|---|---|---|
| シリアル番号 | 管理画面のダッシュボード(システム情報) | 引き継ぎ資料に載っていなかった。見積にはこれが必須 |
| 今の契約の中身(ファイアウォールだけか、UTM も入っているか) | 管理画面のライセンス欄 | 前任の資料で「なし」が3か所、「あり」が1か所。資料どうしが食い違っている(管理画面で確定させる。未確認) |
| 満了日と手続きの締切 | ライセンス欄・前任の資料 | 年末満了、手続きの締切はその1か月前と読める(推定) |
| 機器の登録先(FortiCloud のアカウント) | FortiCloud・前任ベンダーへの確認 | 前任ベンダーのアカウントに登録されている可能性がある。その場合は会社の名義への移管が要り、前任の協力が必要(未確認) |
最後の「登録先」は見落としやすい。前任との関係を整理したいから購入先を変えるのに、手続きには前任の協力が要るかもしれない。前任と気まずくなる前に、移管の段取りを先に聞いておく方がいい。
▼SSL-VPN 廃止:OS を上げると、今の VPN が使えなくなる
打ち合わせで販売店から念を押されたのが、こちらだった。Fortinet は FortiOS 7.6.3 で、FortiClient を使う SSL-VPN のトンネルモードをなくした。代わりは IPsec VPN だ(ブラウザだけで使う Web モードは名前を変えて残る)。設定は自動では引き継がれない。
つまり、こうなる。
- ▶ OS を 7.6.3 以降に上げると、今の FortiClient の SSL-VPN はつながらなくなる
- ▶ 上げなければ使い続けられるが、FortiOS は脆弱性の修正で定期的に上げる必要がある。ファイアウォールの OS を古いまま置くのは危ない
- ▶ 結局、いつかは IPsec などへの移行が要る。購入先を変えても変えなくても、この宿題は残る
まず「VPN を何に使っているか」を確かめた
移行の大きさは、VPN の用途で決まる。この会社では、昔はオフィスの NAS に入るために VPN を使っていた。だが NAS のファイルはすでにクラウドに移している。今 VPN を使う理由は1つだけで、クラウド上の基幹システムが接続元の IP アドレスで制限されていて、オフィスの IP から入るためだった。
用途がこれだけなら、選択肢は IPsec への移行だけではない。基幹システム側の IP 制限のかけ方を変える、拠点間は IPsec の常時接続にする、といった道もある。どれを選ぶかで、FortiGate に求めるものも変わる。
▼「機器ごと入れ替え」の提案に、今は乗らなかった
販売店からは、新しい機種へのリースに、OS の更新代行や月次レポート、感染時の調査まで含む監視サービスを付ける提案もあった。「今月中なら値上げ前の価格」という条件付きだ。
内容としては筋が通っている。OS の更新を代行してもらえるなら、IPsec への移行もその流れで片づく。それでも、今回は検討のテーブルに上げないと伝えた。
- ▶ 今回の目的は「購入先を変える」で、機器を替える予算の前提がない
- ▶ VPN の用途が絞れてきたので、機器を替える前に「VPN がどこまで要るか」を決めたい
- ▶ 期限付きの値引きは、判断を急がせる理由にはなっても、判断の材料にはならない
今回は「今の機器のまま、ライセンスだけ買う」見積を主にする。SSL-VPN の移行は、VPN の用途を決めてから別の宿題として進める。機器の入れ替えは、そのときにもう一度比べればいい。
購入先を変えるのは、棚卸しの機会でもある
前任の言う通りに毎年更新していると、「何を、何のために買っているか」を見直す機会がない。購入先を変えるときは、契約の中身・満了日・登録先・使っている機能を、管理画面で一度確かめ直す。今回はそこから、資料の食い違いと SSL-VPN の宿題が見えた。
▼まとめ
- ▶ 購入先を変える前に、シリアル番号・契約の中身・満了日・FortiCloud の登録先を管理画面で確かめる
- ▶ 登録先が前任のアカウントなら、移管に前任の協力が要る。段取りは先に聞く
- ▶ FortiOS 7.6.3 以降は SSL-VPN(トンネルモード)がない。購入先に関係なく、IPsec などへの移行が宿題になる
- ▶ 機器の入れ替えは、VPN の用途を決めてから比べる
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「ファイアウォールや VPN の更新案内が来たが、何を買っているのかよくわからない」——そういった段階からお気軽にどうぞ。契約と設定の棚卸しから、販売店との打ち合わせへの同席まで対応しています。
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