Mac の調子が悪い端末を調べていて、EDR(SentinelOne)のエージェントが古いことに気づいた。管理コンソールから更新しよう、と思って探したら、その端末がコンソールのどこにもいなかった。有効な端末の一覧にも、削除済みの一覧にもない。
ある会社(Mac 約30台、JumpCloud で管理、EDR は SentinelOne を外部の監視サービス経由で契約)での話だ。1台の問題かと思って掘ると、JumpCloud で管理している Mac 26台と、SentinelOne のコンソールにいる Mac 40台を突き合わせたら、一致が0台だった。この記事では、どうしてそうなっていたか、その日のうちにどこまで直したか、まだ残っていることを書く。
この記事でわかること
- ▶ MDM から EDR を配っていたのに、1台も入っていなかった理由
- ▶ 「入っているのにコンソールにいない」端末ができる理由
- ▶ 13台に配り直したときに起きた失敗と、その直し方
- ▶ EDR を「入れた」で終わらせないために見ること
▼突き合わせは、シリアル番号でやる
まず、MDM(JumpCloud)にいる Mac と、EDR のコンソールにいる Mac を、シリアル番号で突き合わせた。端末名は人が変えるし、同じ名前の端末もある。シリアル番号なら確実だ。どちらも API で一覧が取れる。
| 一覧 | 台数 | 中身 |
|---|---|---|
| MDM(JumpCloud)の Mac | 26 | 今使っている Mac(すべて同じ新しい機種) |
| EDR のコンソール(この会社のサイト)の Mac | 40 | 入れ替え前の古い Mac と、MDM にいない端末 |
| 両方にいる | 0 | — |
EDR のコンソールは「40台守られている」ように見える。だが、その40台はもう使っていない端末が中心で、今使っている Mac は1台も入っていなかった。台数だけを見ていたら気づけない。
▼原因:配布のコマンドが、3か所で壊れていた
JumpCloud には「SentinelOne をインストールする」コマンドが用意されていて、Mac に配る仕組みにはなっていた。中身を読むと、3か所が壊れていた。
| 場所 | 壊れ方 | 起きること |
|---|---|---|
| パッケージを取るための API トークン | 無効(401 が返る) | 毎回、ダウンロードの段階で失敗していた |
| どのサイトに登録するかのトークン | 今のこの会社のサイトのものと一致しない(別のサイトのものか、再発行前の古いもの。どちらかは未確認) | 仮に入っても、この会社のサイトには出てこない |
| 「入っていたら何もしない」の判定 | 見ているファイルの場所が、今のエージェントの実際の場所と違う | 入っている端末にも、毎回入れ直そうとする |
しかもコマンドの実行結果は、直近の記録に1件もなかった。仕組みはあるが、一度も成功していなかった可能性が高い。誰かがコマンドを作り、トークンが切れたか変わったあと、誰も結果を見ていなかった。
▼直したこと:トークンを差し替えて、13台に配った
サイトのトークンを今のものに差し替え(コンソールの API で一致を確かめた)、判定のパスを直し、API トークンも有効なものにした。そのうえで、会社の了承を取って、EDR が入っていない Mac に配った。
- まず1台に実行し、この会社のサイトに登録されたことをコンソールで確認
- 残りに一斉に実行 → 11台中4台が「パッケージのパスが無効」で失敗
- 同時にダウンロードして、壊れたパッケージをつかんだと推測。スクリプトに3つ足した:ダウンロードの開始を端末ごとにランダムにずらす、最大5回まで取り直す、
pkgutil --check-signatureで署名を確かめてから入れる。タイムアウトも延ばした - 失敗した4台に再実行 → 全台成功
結果、13台を新しく入れ、全台がこの会社のサイトに登録されて接続中になった。
新しいトークンにも期限がある
差し替えた API トークンは、ある担当者の個人アカウントのもので、30日で切れる。切れると、このインストールのコマンドも、同じトークンを使っている別の通知の仕組みも、また黙って止まる。期限をカレンダーに入れたうえで、個人に紐づかないサービス用のアカウントのトークンに切り替えるのが次の宿題だ。今回の原因そのものが「切れたトークンに誰も気づかなかった」なので、同じ穴を残さない。
▼残った9台:入っているのに、どこにも所属していない
やっかいなのは、ここからだ。エージェントは入っていて動いているのに、この会社のサイトにいない Mac が9台あった。最初に気づいた不調の端末もその1台だ。
その端末のエージェントのフォルダは、端末そのもの(数か月前に納品されたリース機)より古い日付で作られていた。前の Mac からデータを移したときに、エージェントごと持ち込まれた可能性がある(推測)。持ち込まれたエージェントは、前の端末が登録されていたサイトか、どこか別のサイトに向いたままになる。
消して入れ直せばいい、と思って端末側から削除を試した。だが、削除には、そのエージェントが所属するコンソールの管理者しか出せないパスフレーズが要ると止められた。EDR が攻撃者に勝手に消されないための仕組み(改ざん防止)なので、正しい動きだ。こちらからは消せない。
そこで、監視サービスの事業者に、9台のシリアル番号とエージェントの ID を送り、どこに所属しているかを調べてもらうよう依頼した。この会社のサイトに移してもらうか、パスフレーズをもらって入れ直す。今は返事待ちだ。
データ移行のときは、EDR を持ち込まない
移行アシスタントで前の Mac から丸ごと移すと、アプリやシステムの設定と一緒にセキュリティ製品のエージェントまで移ることがある(今回の推測)。新しい Mac には MDM からエージェントを入れ、移行するのは利用者のデータだけにする。入れ替えの手順に、この1行を足しておきたい。
▼EDR を「入れた」で終わらせないために
EDR を導入した会社は多い。だが、「今使っている全端末が、自社のコンソールに、接続中でいるか」を定期的に見ている会社は少ないと思う。今回わかったのは、次の3つだ。
- ▶ 台数ではなく、シリアル番号で MDM と突き合わせる。台数が合っていても中身が違うことがある
- ▶ 配布の仕組みは、結果を見るまでが仕事。トークンの期限切れは、エラーを出さずに静かに止まる
- ▶ 端末の入れ替えのときに、EDR の所属を確かめる。持ち込みと、古い端末の削除の両方
監視サービスに入っていても、監視されるのはコンソールにいる端末だけだ。コンソールの外にいる端末は、誰も見ていない。
▼まとめ
- ▶ MDM の Mac 26台と EDR のコンソールの Mac 40台、シリアル番号で一致は0台だった
- ▶ 原因は配布コマンドのトークン切れ・サイト違い・判定ミス。一度も成功していなかった可能性が高い
- ▶ 一斉配布は、ずらす・取り直す・署名を確かめる。13台は全台登録できた
- ▶ 持ち込まれたエージェントは、所属先の管理者でないと消せない。9台は確認待ち
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