- 情シス採用と外注のリアルなコスト比較
- 採用後の教育・定着コストまで含めた総コスト
- 「まず外注で試す」が合理的な理由
「そろそろ情シスを採用しようか」と考えているスタートアップの経営者・バックオフィス担当者向けに、採用と外注のコストを現役情シスの目線でフラットに比較してみる。
▼その前に:こういう会社、多い
情シスの採用を検討し始める会社の多くは、こんな状態からスタートしている。
- 💼総務やバックオフィス担当が「なんとなく詳しそう」という理由でIT対応も兼任している
- 🚨PCトラブルやSaaSの設定問題が起きたとき、対応できるのが自分(または特定の誰か)しかいない
- 🔍ツール選定も設定も全部Google検索で手探り。「これで合ってるのか?」を確認できる人がいない
- 😔結果、非効率な導入・設定ミス・やり直しが発生し、本来の業務を圧迫している
この状態で「採用か外注か」を検討し始めるわけだが、どちらが合理的かをコストと実態の両面から整理してみる。
結論から言うと、30〜100名規模の会社であれば、まず外注で試してから採用を検討するのが合理的だと思っている。その理由をコストと実態の両面から解説する。
▼情シス採用の「本当のコスト」を計算してみる
求人票に書いてある年収だけで判断すると痛い目を見る。採用から定着まで含めた総コストはこうなる。
| コスト項目 | 金額目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 年収 | 400〜600万円/年 | コーポレートIT人材の一般的な求人相場 |
| 社会保険料(会社負担) | 約60〜90万円/年 | 年収の約15% |
| 採用費用 | 75〜175万円 | ダイレクトリクルーティング:年収の15〜20% / 人材紹介:年収の35% |
| 入社後の教育・立ち上がり期間 | 3〜6ヶ月分の人件費 | 即戦力になるまでのロスタイム |
| PCや備品等の初期費用 | 20〜30万円 | 貸与PC・周辺機器等 |
| 初年度の総コスト(概算) | 540〜930万円 | ※教育・立ち上がりコスト除く。下限:年収400万×ダイレクト採用 / 上限:年収600万×人材紹介 |
入社後に「思ってたのと違う」となった場合、再採用にかかるコスト・ブランク期間のリスクも発生する。情シスは「何ができる人か」が外からわかりにくい職種だけに、採用ミスマッチが起きやすい。
▼外注(情シス代行)のコストと実態
外注には大きく2つのパターンがある。
| プラン | 月額費用 | 稼働量の目安 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| 時間単価型 | 月15〜30万円 | 月25〜50時間程度 | タスクが多い・立ち上げ期 |
| 顧問プラン | 月6〜12万円 | 月10〜20時間以内 | 相談・判断サポートがメイン |
年間に換算するとこうなる。
| プラン | 年間費用 |
|---|---|
| 時間単価型(月20万円の場合) | 約240万円/年 |
| 顧問プラン(月8万円の場合) | 約96万円/年 |
| 採用との差額(時間単価型比較) | 約360〜660万円/年 安い |
▼採用 vs 外注、トータルコスト比較
🏢 正社員採用
- 採用費用(エージェント料)が高い
- 社会保険料・備品等が別途かかる
- 教育・立ち上がり期間がある
- 採用ミスのリスクがある
- 退職した場合また採用コストが発生
🤝 外注(情シス代行)
- 初期費用ゼロ・すぐ動ける
- 稼働量を柔軟に調整できる
- 複数社の経験・知見が活きる
- 採用ミスのリスクがない
- 合わなければすぐ変更できる
▼「まず外注で試す」が合理的な理由
コストだけで見ても外注が有利だが、それ以上に重要な理由がある。
① そもそも「1人目情シス」ができる人材は母数が少ない
「情シスを採用したい」と思っても、そもそも1人目情シスとして機能できる人材は市場に極めて少ない。
理由は単純で、情シスという職種は会社によって業務範囲がバラバラだからだ。大企業でヘルプデスクだけやってきた人と、スタートアップでSaaS導入からMDM・セキュリティ・ヘルプデスクまで全部やってきた人では、スキルセットが全く異なる。
求人票に「IT全般お任せ」と書いても、実際に来る応募者の多くは大企業の情シス出身者で、「自分でゼロから業務設計する」経験がないケースがほとんどだ。採用できたとしても「何をやればいいかわからない」という状態になりやすい。
② 業務委託なら実績・知見をもとに自社に合う業務設計をしてくれる
複数社で情シス業務を経験してきた代行者は、「この規模・この業種の会社には何が必要か」を肌感覚で知っている。
たとえば「従業員50名・SaaS中心・リモートワークあり」という環境なら、MDMの選定・IdPの構成・ヘルプデスクのフロー設計・ISMS対応の優先順位まで、過去の事例をもとに最短ルートで提案できる。
一方、未経験に近い状態で採用した社員が同じことをやろうとすると、試行錯誤に半年〜1年かかることも珍しくない。その間も人件費は発生し続ける。
業務委託であれば、初日から「自社の状況に合った業務設計・オペレーション構築」をすぐに進められる。これは採用では代替できないアドバンテージだ。
③ 情シスに何を任せるべきかがわかっていない段階では採用できない
外注を先に使うことで「自社に本当に必要な情シスの業務・スキルセット」が明確になる。その状態で採用に動く方が、採用ミスを防げる。
④ 成長フェーズによって必要な稼働量が変わる
30〜50名規模の会社の情シス業務量は、正社員1人を雇用するほど多くないケースがほとんどだ。外注なら月の稼働時間を柔軟に増減できるため、フェーズに合ったコストコントロールができる。
- 従業員数が30〜100名規模
- 情シス担当が社内にいない
- SaaS導入・デバイス管理・セキュリティ対策をこれから整えたい
- 情シス業務の全体像をまだ把握していない
- 情シスが主導する大規模な内製開発がある(→採用向き)
- 数百名規模で情シス業務が専任1人以上必要(→採用向き)
▼外注から採用への移行タイミング
「外注でずっと行けるのか?」という疑問もあると思う。外注から採用への切り替えを検討するタイミングの目安はこうだ。
| 目安 | 状況 |
|---|---|
| 従業員数150名超 | 情シス業務量が外注1人では回らなくなってくる |
| 月の稼働時間が常時50h超 | 正社員換算した方がコスト効率が良くなる |
| 情シス業務の内容が整理できた | 「こういう人が必要」という採用要件が明確になる |
| 内製開発・システム企画が必要になった | 外注より専任担当の方が適切 |
逆に言うと、これらの条件が揃う前に採用すると、採用コストとミスマッチのリスクを抱えることになる。
▼まとめ
情シスの採用と外注を比較すると、コスト面では外注が圧倒的に有利だ。さらに「自社に必要な情シス像を整理する」「フェーズに合わせた稼働調整ができる」という点でも、まず外注から始めることに合理性がある。
採用を否定しているわけではなく、「まず外注でIT環境を整えながら、本当に採用が必要な状態になってから動く」という順番が失敗しにくいというのが、複数社の情シスを掛け持ちしてきた自分の実感だ。
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