ある会社(30名規模)で、ChatGPT の Windows 向けデスクトップアプリを Intune から配った。この会社は ChatGPT Business を全社員分契約していて、Codex を試したい人もいる。
先に結論を書く。アプリを配る範囲は、Intune のグループで決まる。だから、絞るために「利用可能」にしておく理由はない。「必須」でいい。ただし、Intune で決まるのは「誰に配るか」までだ。Codex を使えるかどうかは ChatGPT の管理画面で決まる。そして Business では、その許可がワークスペースの全員に対するスイッチ1つしかない。
当日は、登録から3時間弱で割り当てを「利用可能」から「必須」に変えた。さらに、この記事のために裏を取り直したら、Intune で「Codex」と名付けて配ったのは、今の Store では「ChatGPT」(Chat・Work・Codex が1つに入ったアプリ)だった。「ChatGPT」として足したほうは、従来版の「ChatGPT Classic」だった。
筋は1つ。配る・入れられる・使えるは、別の場所で決まる。それぞれ確かめる。
この記事でわかること
- ▶ ChatGPT・Codex の Windows アプリを Intune で配るときの設定(Store アプリ(新規)・システム・グループ)
- ▶ 「届いていない」ときに、PC を触る前に見る3つ
- ▶ 「利用可能」をやめて「必須」にした理由
- ▶ Store の「ChatGPT」と「ChatGPT Classic」の違いと、登録したアプリの確かめ方
- ▶ Intune では止められないもの(Store から自分で入れる・ChatGPT 側の許可)
▼Store アプリ(新規)・システム・アプリごとのグループで登録した
配り方は、OpenAI の Windows 向けの配布ガイドに合わせて Intune の「Microsoft Store アプリ(新規)」にした。アプリは Store 経由で自分で更新するので、版を Intune 側で追いかけなくていい。判断が要ったのは「インストールの動作」と「誰に割り当てるか」の2つだけだった。
| 項目 | 値 | 理由 |
|---|---|---|
| 種類 | Microsoft Store アプリ(新規) | OpenAI の推奨。Store に届かない環境なら、MSIX を包んで配る方法もある |
| アプリの指定 | Store の製品 ID | 名前で探すと、似た名前のアプリが出る。発行元が OpenAI かも確かめる |
| インストールの動作 | システム | Entra 登録(個人)の PC が数台ある。「ユーザー」だと、そうした PC ではポータル サイトでインストールを押したときに「要件を満たしていません」になる |
| 割り当て | アプリごとのユーザーグループ。最初は「利用可能」 | 誰に配ったかを、グループのメンバーと記録表で残す |
インストールの動作は、Microsoft のドキュメントでも「Entra 登録の端末はシステムを使う」とされている。Intune への登録で詰まり、PC の所有者が「個人」になった話は、別の記事に書いた。
最初に登録したのは、自分が「Codex のアプリ」だと思っていたものだ。Intune 上の名前も「Codex」と付けた。これが後で効いてくる。
グループは、アプリごとに分けた。ChatGPT のアプリは全社に広げる可能性がある。Codex は、承認した人だけにしたかった。Codex は PC の中のファイルを読み、コマンドを実行する。ブラウザの ChatGPT より、PC に対してできることが広い。この分け方の前提は、後で崩れる。
登録はスクリプト(Microsoft Graph)で回した。グループ作成 → メンバー追加 → アプリ登録 → 割り当ての順で、すでにあるものは作らない。割り当てを変えるときは、同じグループの別の種類の割り当てを置き換え、ほかのグループの割り当ては残す。最初の対象は、パイロットとして総務の担当者1名にした。
▼「届いていない」は、同期の時刻・アプリ名・割り当ての種類の3つで切り分けた
登録から2時間半あまりたって、パイロットの PC にまだ何も入っていないことに気づいた。PC を触る前に、管理センターで3つを見た。
① 同期の時刻
パイロットの PC(Windows 11、Entra 参加・会社所有・準拠)が最後に Intune と同期したのは、アプリを登録する約20分前だった。インストールの記録は0件。PC から見れば、まだ何も割り当てられていない。
Intune のアプリ配布を受け持つ PC 側の仕組み(Intune Management Extension)が、新しい割り当てを確認するのは8時間ごとだ。待てば届くが、ポータル サイトの「同期」か、管理センターのデバイスの「同期」で早められる。
② アプリ名
その日の定例で話していたのは「ChatGPT のデスクトップアプリを入れる」だった。Intune に登録してあったのは、「Codex」と名付けた1つだけ。ChatGPT のアプリは未登録だと判断して、その場で ChatGPT のアプリの製品 ID を決め、「ChatGPT」という名前で登録して別のグループに割り当てた。ID は、作業を手伝わせている AI エージェントが出したものを、OpenAI のヘルプ記事で裏を取って使った。Store のページは開かなかった。この判断が正しくなかったことは、2つ後の節で書く。
③ 割り当ての種類
同期させた後も、記録は0件のままだった。「利用可能」は、本人がポータル サイトを開いてインストールを押すまで入らない。しかも Microsoft のドキュメントには、Store アプリを「利用可能」で配ると、インストールの状態そのものが報告されない、とある。0件は「届いていない」のか「本人がまだ押していない」のか、管理センターからは区別できない。
判断の分かれ目
- ▶ 端末の画面より先に、管理センターの時刻を見る。最終同期と登録の時刻を比べるだけで、「待てば届く」のか「何かが壊れている」のかが分かる。相手の PC を触らずに済む
- ▶ 依頼のアプリ名を、登録の前に復唱する。ChatGPT と Codex は、使う側から見ればどちらも「OpenAI のアプリ」だ。しかも今は、同じアプリの中にある。依頼の言葉と登録したものがずれていても、どちらも気づかない。復唱は名前ではなく製品 ID で
▼「利用可能」は絞る手段ではなかった。だから「必須」にした
「利用可能」を選んだのは、前の週の自分だ。理由は「使う人を絞り、誰に配ったかを残すため」だった。だが振り返ると、それを担っていたのはグループと記録表で、「利用可能」ではなかった。割り当ての種類を変えても、配る範囲は変わらない。
そこで、2つのアプリとも「必須」(自動インストール)に変えた。本人がポータル サイトを開いて押す手間がなくなる。最初の登録から3時間弱だった。数分後に同期させると、2つとも PC に「必須」として届いた。インストールの状態は「不明」のままで、PC に実際に入ったか、サインインできたかは、この記事の時点ではまだ確かめていない。
| 利用可能 | 必須 | |
|---|---|---|
| 入るきっかけ | 本人がポータル サイトでインストールを押す | 同期の後に自動で入る |
| 情シスから見えること | Store アプリはインストールの状態が報告されない。届いていないのか、押していないのか区別できない | 「必須」として PC に届いたかは見える。インストールの状態は、この会社では当日「不明」のままだった |
| 配る範囲を決めるもの | グループ | グループ(同じ) |
| 消したいとき | 「アンインストール」で割り当てる。グループから抜いたときに、入っているアプリがどうなるかはまだ確かめていない | |
判断の分かれ目
- ▶ 絞るのはグループ、配り方は割り当ての種類。2つを混ぜない。「利用可能にしておけば勝手に広がらない」は、グループで絞っているなら理由にならない
- ▶ 相手が IT に詳しくないなら、押してもらう前提を置かない。ポータル サイトの場所を案内し、押してもらい、押したか聞く。この往復のほうが「必須」より手間がかかる
- ▶ 情シスにとっても「必須」のほうが確かめやすい。少なくとも「必須」として届いたかは管理センターに出る。「利用可能」の Store アプリは、インストールの状態そのものが報告されない
誰をグループに入れたかは、記録表に「いつ・誰を・何の根拠で」と残している。グループで絞って記録表に残す考え方は、同じ会社で ChatGPT の Microsoft 365 連携を絞った記事と同じだ。
▼配った2つのアプリは、思っていた2つではなかった
この記事を書くために、Microsoft Store の掲載と OpenAI の配布ガイドを確かめ直した。結果はこうだった。
| Intune で付けた名前 | Store の製品 ID | Store の今の掲載名 | 中身 |
|---|---|---|---|
| Codex | 9PLM9XGG6VKS | ChatGPT | Chat・Work・Codex が1つに入ったデスクトップアプリ。OpenAI の配布ガイドが案内しているのはこれ |
| ChatGPT | 9NT1R1C2HH7J | ChatGPT Classic | 従来のデスクトップアプリ。配布ガイドには載っていない |
※ 2026年10月26日時点の Microsoft Store の掲載と、OpenAI の Windows 向け配布ガイドで確認
パイロットの PC に「必須」で届けたのは、新しい統合版の ChatGPT(Intune 上の名前は「Codex」)と、旧版の ChatGPT Classic の2つだった。担当者が待っていた「ChatGPT のデスクトップアプリ」は、最初に登録した方がそれだった。「ChatGPT のアプリが未登録」という判断は、自分で付けた名前に引っ張られていた。そして足した「ChatGPT」は、今の Store では従来版の「ChatGPT Classic」だった。
前の週に配布方法を調べたとき、自分はこの製品 ID を Codex のアプリとして記録していた。これ自体は間違いではない。Store のカタログを見ると、9PLM9XGG6VKS のパッケージ名は今も「OpenAI.Codex」で、掲載名が「ChatGPT」になっている。9NT1R1C2HH7J のパッケージ名は「OpenAI.ChatGPT-Desktop」で、掲載名は「ChatGPT Classic」だ。OpenAI のヘルプは、Codex のアプリを更新すると Chat・Work・Codex の入った新しい ChatGPT のデスクトップアプリになる、と書いている。それとは別に、新しいアプリと従来のアプリが並んで入っているときは、従来のほうが「ChatGPT Classic」と表示される、とも書いている。Codex のアプリが「ChatGPT」の名前を引き継ぎ、従来の ChatGPT のアプリは「Classic」と呼ばれる側に回った。Intune 上の「Codex」という名前は、その前の呼び名のまま、こちらで付けたものだった。間違えたのは、2つ目に足した Classic のほうだ。その ID は、AI エージェントが出したものを OpenAI のヘルプ記事で裏取りしていた。手順としては1つ確かめている。ヘルプ記事では「ChatGPT の Windows アプリ」の ID として載っていた。だが、誰も Store の今の掲載名を見ていなかった。AI が出しても人が調べても、同じ穴に落ちる。足りなかったのは、最後に Store の今の掲載名を見る1手だ(AI エージェントに作業を手伝わせている体制はこちらの記事に書いた)。
判断の分かれ目
- ▶ ヘルプ記事の ID は、書かれた当時のもの。登録の前に Store の今の掲載名で確かめる。見るのは製品 ID・Store の今の掲載名・提供元の配布ガイドの3つ。Intune の表示名に自分の呼び名を付けると、「何を配ったか」を自分で見誤る。この会社でも、Intune の名前を Store の掲載名に合わせて直した
- ▶ アプリ単位で Codex を分ける前提は、成り立たなかった。今の ChatGPT のデスクトップアプリには Codex が入っている。ChatGPT のアプリを全社に配れば、Codex の入ったアプリも全社に配ることになる。Codex を使えるかどうかは、アプリではなく ChatGPT 側で決まる
どちらを配ればいいかの答えは、新しいほう(9PLM9XGG6VKS)だ。OpenAI のヘルプでは、Classic も使い続けてよく、移行は必須ではない。更新も続く。ただし、新しいエージェントの機能は新しいアプリにしか入らないことがある。配布ガイドも新しいアプリしか案内していない。
この会社では、その日のうちに Classic の「必須」の割り当てを外した。Intune には割り当てなしで登録だけ残し、名前を「ChatGPT Classic」に直した。統合版は Intune の名前を「ChatGPT(Chat・Work・Codex)」に直し、「必須」のままにしている。外した時点で、パイロットの PC にどちらかのアプリが入ったかは、まだ分かっていない。
▼Intune で決まるのは「誰に配るか」まで
配る・入れられる・使えるは、別の場所で決まる
| 段 | 決める場所 | この会社の今 |
|---|---|---|
| 配る | Intune の割り当て(グループ) | パイロットの1名 |
| 入れられる | Microsoft Store の制御(Intune の設定など) | 未確認。Store を止める設定を入れているか、まだ調べていない |
| 使える | ChatGPT の管理画面(ワークスペースの設定) | Codex のローカル使用:全メンバー対象で許可(スイッチ1つ)。Codex Cloud:この会社の管理画面では「オン」で、変えられなかった |
Intune の割り当てが決めるのは「誰に配るか」だけだ。配っていない人が Microsoft Store から自分で入れるのは、割り当てでは止まらない。
Store を止める設定(Store アプリをオフにする)を入れても、Intune の Store アプリ(新規)での配布は止まらない。Microsoft と OpenAI のドキュメントの両方にそう書いてある。逆に、止めていなければ、配っていない社員が Store から自分で入れられる可能性がある。標準ユーザーの PC で入れられるかは公式の記述が分かれていて、実機で試すのが確実だ。この会社ではまだ試していない。Store を止めると社員が自分で入れているほかのアプリにも効くので、止めるかどうかはこの記事では結論を出さない。
Business では、1人に Codex を使わせると全員に許可することになる
ChatGPT Business では、Codex をローカル(デスクトップアプリや CLI)で使う許可は、管理画面の「権限とロール」にあるスイッチ1つだ。この会社の画面では「メンバーに Codex と Work のローカル使用を許可」という名前だった。対象はワークスペースの全員で、グループやロールで分けられない。OpenAI のヘルプでも、グループ機能とロールごとに機能を切る仕組みは Enterprise など上位のプラン向けで、Business は対象に入っていない。
当日、Codex をアクセストークンで動かす疎通を試した。最初は 403(rejected_by_access_enforcement)が返った。でたらめなトークンなら 401 が返るので、トークン自体は受け付けられ、権限で拒否されている。最初のトークンで使える範囲(スコープ)は「ワークスペースエージェント」だけだった。もう1つ、Codex は以前に社内で一度止めていたことがあり、ワークスペースの許可がオフのままだった可能性もあった。
管理画面で Codex の許可を見直し、Codex をスコープに含めてトークンを発行し直したら通った。設定とトークンの2つを同時に変えたので、どちらが決め手だったかは切り分けていない。
通った後に画面を見ると、Codex のローカル使用の許可は全メンバー対象でオンだった。変更前がオフだったかは見ていない。個人用アクセストークンを作る許可も、全メンバー対象でオンになっている。
判断の分かれ目
分かれ目は「スイッチを戻すか、開けたままにするか」ではない。戻せば、パイロットの1人も PC で Codex を使えなくなる。しかも Codex Cloud(OpenAI のクラウドで動く Codex)は、この会社の管理画面では「オン」で、変えられなかった。Codex Cloud は Web だけでなく、デスクトップアプリからも始められる。新しい ChatGPT のアプリを配れば、その入り口も一緒に配ることになる。ただし、Codex Cloud の作業環境を作る手順は GitHub のリポジトリを選ぶところから始まり、接続は各自で行う。この会社では、作られた環境は0件だ。実際の選択は「この会社で、PC の上でも Codex を使わせるか」だ。この会社は、スイッチを戻さず全員に許可する予定だ。そのぶん、開かせてはいけないフォルダや入れてはいけない情報を決める。スイッチはテストの時点からオンになっていて、決めるより先に開いている。順番としては逆だ。PC の上で Codex にできることは、制約のファイル(requirements.toml。Windows では %ProgramData%\OpenAI\Codex\ に置く)で縛れる。OpenAI の管理者ガイドは、ChatGPT のデスクトップアプリ・CLI・IDE 拡張に効くと書いている。Intune で配れるファイルだが、この会社ではまだ試していない。
Enterprise なら、OpenAI の管理者向けガイドはロールとグループで Codex の利用者を絞る前提で書かれている。ただ、Business から移る条件(最低の席数など)は公開されていない。30名規模の会社で、そのためにプランを上げる話にはしていない。
ChatGPT の設定は API で読めない。画面で一覧にした
使える範囲を確かめる手段は、管理画面しかなかった。この会社の Admin Console の認証情報には「ChatGPT アクセストークン」のタブしかなく、管理用の Admin key は作れなかった。トークンを作るときに選べるスコープも「ワークスペースエージェント」と「Codex」の2つだけだ。OpenAI のヘルプも、Admin key の対象として挙げているのは Enterprise・Edu・Healthcare で、Business は入っていない。トークンの有効期限の上限は、この会社の設定では7日だった(上限はオーナーが設定する値だ)。
そこで、2つの管理画面(Admin Console と ChatGPT 側の管理画面)を読み、日付入りの一覧にした。どちらも同じ設定を指しているので、一覧には1回だけ書いた。一覧を作るときは読むだけにして、設定は変えていない。
- ▶ Business では表示されるだけで変えられない項目も、分けて書く。「変えられない」と分かっていること自体が、プランを上げるかどうかの判断材料になる
- ▶ 日付を入れる。画面の名前や項目は、提供元の展開状況で変わる。アプリの掲載名が変わっていたのと同じだ
▼まだ終わっていないこと
| 終わったこと | まだのこと |
|---|---|
| 統合版の ChatGPT の登録と「必須」の割り当て。パイロット1名の PC に「必須」として届いたところまで | PC に実際に入ったか、会社のアカウントでサインインできたかの確認 |
| Classic の「必須」の割り当てを外し、Intune の名前を Store の掲載名に合わせて直した | requirements.toml で PC の上の Codex を縛るかの検討(未検証) |
| ChatGPT の管理画面の設定一覧 | 配っていない人が Store から入れられるかの確認 |
| Codex を全員に許可する前の、使い方のルール。個人用アクセストークンを作る許可を戻すか |
▼まとめ
- ▶ ChatGPT のデスクトップアプリは、Store アプリ(新規)・システム・グループの割り当てで配る(OpenAI の配布ガイドと同じ設定)
- ▶ 「届いていない」は、同期の時刻・アプリ名・割り当ての種類の3つで切り分ける
- ▶ 絞るのはグループ。「利用可能」は絞る手段ではない。押してもらう前提がなければ「必須」にする
- ▶ 登録は製品 ID で、Store の今の掲載名と配布ガイドで中身を確かめる。Intune の表示名に自分の呼び名を付けない
- ▶ 配る(Intune)・入れられる(Store)・使える(ChatGPT)は別の場所で決まる。Business では Codex のローカルの許可が全員に1つ。クラウドもこの会社の画面では変えられなかった。「PC の上で使わせるか」から決める
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